皆大好き☆皇帝陛下

 「青赤遺伝子」様が連載されている素敵小説『愛しき皇帝陛下へ』の蓬莱島ピザ支援の裏事情的なお話です。
 元のお話のあまりの素敵振りに妄想の一部を吐き出したところGOサインを頂きましたので書いてみました。
 二次創作ならぬ三次創作?
 作品の雰囲気を壊していないことを祈りつつSOSOGUがお送りいたします。

 テレビ(録画放送)に映るのはいつも通りの美しさと華やかさを称えるブリタニア皇帝ルルーシュ。
 明日行われるブリタニアの超合集国参加決議に備えどのテレビ番組も現皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを讃え今後の世界情勢を鑑みた報道を行っている。
 しかし一つだけ他の番組と少し違う内容を報道していた。
 国営テレビの生放送でありながら何故かその番組が招いたゲストは某有名外食産業の社長。
 けれど番組を見たブリタニア国民は全員、彼の登場に納得していた。
 番組の司会を担当するアナウンサー二人もにこやかに微笑みながらゲストを迎えカメラに向き直る。

「今晩は。『殿下の微笑み』改め『ルルーシュ陛下の微笑み』のお時間です。」
「ルルーシュ皇帝陛下即位に伴い、陛下以外の皇族が皆平民になってしまったあの日以来、当番組の存続も危ぶまれましたが陛下の動向をお伝えする事で皆様からご声援を頂き番組名を改め再スタートを切る事になりました。
 番組存続にお力添えを下さりありがとうございます。番組制作スタッフを代表し、この場で御礼申し上げます。」

 司会担当の壮年の男性アナウンサーが深くお辞儀をし、倣う様に女性アナウンサーもカメラに向かい深く礼をする。
 再び顔を上げた二人は微笑みを絶やさぬままゲストである老年にさしかかった男性を手で指し示し紹介した。

「では記念すべき再スタートに当たり、ゲストをご紹介致します。
 帝都ペンドラゴンのみならず全世界に多くの支店を持ち、現在も展開を続けている大手デリバリーピザチェーン店ピザ●ットを運営するケン○ッキーの代表取締役執行役員社長においで頂きました。
 この度はありがとうございます。どうか最後までよろしくお願い致します。」

 女性アナウンサーの紹介を受け、スーツ姿の老人が微笑みながらよろしくお願いしますとカメラに向かい頭を垂れた。
 紹介が終わると待っていましたとばかりにVTRが映る。
 それは彼が持つ店舗の一つ。元気良く働くスタッフは電話を受ける度に皇帝ルルーシュを称える言葉を発していた。
 どんどん電話注文は入って来るのにピザの名前らしき声は響かない。通常なら異常と感じるべき状況だ。
 だが誰もその光景を異常と認識していなかった。

「現在視聴者の皆様にご覧頂いているのは帝都のみならず全国で展開中のキャンペーンピザの調理場です。
 いやぁ目まぐるしい状況ですねぇ。」
「そうですね。ですがこれは我が社の店舗だけではありません。少なくとも帝都中のピザ店は全店同じ状況なのです。」
「前代未聞の帝都中のピザ専門店及びイタリア料理専門店が同時に行っているキャンペーン。
 何故このキャンペーンを行うに至ったのか、どうやって全てのピザ専門店の協力を取り付けたのか。お話を聞かせて下さい。」
「まず何からお話ししたものか・・・。
 そうですね。まずこのキャンペーンは我が社が主体となって展開されているものではありますが、決して我が社の実力だけで可能になったわけではありません。フランチャイズチェーンという小売形態なので直営店以外には協力を呼びかけるという形になりましたしね。」
「と、言いますと?」
「全ての始まりはあの日、朝一番の電話でした。」

 男性アナウンサーの問いに某社長は目を伏せて語り始めた。



 * * *



 電話を取ったのは秘書。
 その日、彼ははたまたま昼からの会議の為に早朝出社し資料確認を行っていた。
 だが会社の始業時間よりもかなり早い時は余程の事がない限り彼に直接取り次がれる事はない。
 故に「社長!」と慌てて電話を保留にして叫ぶ秘書に彼はタダならぬ気配を感じた。
 会社の運営に関わる重大な案件でも出たか。それともまた何処かの店舗で道楽貴族が適当な理由をつけて追徴税だと言ってきたとの連絡か。
 少なくとも後者は有り得ない。既得権益の上に踏ん反り返っていた貴族は皆、現皇帝ルルーシュ陛下の政策で特権を奪われ只人となった。
 無論、その決定に不満を抱く者は多く反乱を企てる者もいるが庶民は皇帝陛下の味方。大企業と言っても財閥と言うほどでもない会社だ。我儘貴族の気紛れに泣かされ続けてきた事もあり彼の会社の役員は全員が皇帝陛下の政策に諸手を挙げて賛成した。
 ・・・話が逸れたが、貴族がいなくなった事で会社運営の悩みは減った。また最近のブリタニアは国民の意識が変わってきたせいか労働意欲が増し景気も良い。
 この状況で自分に火急の件とは?
 どんな難題だと恐る恐る取った受話器から聞こえるのは彼には馴染みがあるようでない声。

『早朝に失礼する。
 私の名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。』

 まさかと思った。
 不敬罪が撤廃されたとはいえブリタニアの唯一皇帝陛下の名を騙る事は死罪に等しい。
 無論秘書が相手確認をしないわけがなく、確証を得て自分に取り次いだのだろう。
 何よりも声が発する威圧感がテレビの向こうにいた白く気高い皇帝であると教えていた。

『突然の注文になり申し訳ないが現在、私は100万枚のピザを必要としている。
 しかも今日の昼までにだ。』
『昼までに!? そんな無茶です。
 それに何故陛下が・・・。』

 言いかけて彼ははっとした。昨夜ニュース報道で聞いたばかりの数だ。
 ブリタニアに反逆の狼煙を上げたエリア11の反逆者ゼロと彼が率いる黒の騎士団。
 彼らはブリタニアの旧体制に反発し、日本を求めて故郷を離れ中華連邦の領土である蓬莱島に暫定首都を設けた。
 ゼロについて行った日本人の数は100万人。
 当初は上手くいっていた蓬莱島だが、ゼロが第二次東京決戦で負傷し亡くなってから黒の騎士団は徐々に腐敗していったらしく島はまともに機能しなくなり治安は悪化、食料の配給が滞り飢餓が蔓延していると報じられた。エリア開放によりエリア11は日本に戻ったが、帰還事業も滞っており祖国へ帰る事も叶わないと言う。
 思い出すのはお腹が減ったと泣く子供達と子供を宥める母親達。
 心優しき皇帝陛下があの映像に心動かされないわけがない。
 彼の考えを肯定する様に電話の声は哀愁を漂わせていた。

『無論、無茶な要望だと承知している。
 だが事は急を要する為に他の会社にも協力を呼びかけ・・・いや、これは勅命だ。
 何としても今日中にピザを用意しなくてはならない。
 また不公平にならぬようピザもこちらが提示するオリジナルレシピ通りに作る事が大前提となる。』
『陛下のお望みなのですね。』
『そうだ。出来るか?』
『レシピは一体何処の本に載っていたものでしょうか。
 オリジナルレシピとなりますと商業利用はレシピの使用権問題も出てきます。
 個人所有のものでしたら許可を取らねばなりません。』
『レシピは私が基本のトマトソースピザのレシピを元にアレンジを加えたものだ。
 トマトソースの調味料はコンマ単位の黄金率で配合し、トッピングの配置も全て計算に基づいて決めた黄金配置!
 一つでも変えると味のバランスが悪くなってしまう為に細心の注意が必要だ。
 勿論生地の練り方、発酵時間も室内の温度と湿度に応じて表を作成している完璧なものだ!
 唯一の問題点は手捏ねの場合は手から伝わる体温も関係してくると言う事。
 必要ならば私の平均体温もデータとしてつけよう。』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 声高らかにレシピの概要説明有難うございます。
 でもあの、皇帝陛下。下手な料理人よりも拘って作ってますよね。
 普通の料理人はそこまで計算管理してないし料理好きの一般人も室温湿度に拘って表を作るなんて事出来ません。
 そんな心の叫びを声にすることなど出来るわけがなく彼は唾を呑み込んだ。
 彼は経営者だがピザ作りの経験はある。経営者たるもの自分の会社が作っているものの基本くらいは知っておくべし、と体験学習していた。当たり前だが実際に作る時にそんな事まで気を回してはいない。
 各店舗でもピザ生地については機械にセットして作っている。作る人間によって味が変わってはフランチャイズチェーンなどという小売営業は成り立たないからだ。
 つまり生地については機械設定を変える必要があると言う事、トマトソースも調味料の比率が指定されているならば各店舗で作らせるしかない。トッピングの材料の確保も出来るかどうか・・・非常に難しい条件と言わざるを得ないだろう。
 当然各社の協力は欠かせない。あまりにも時間が足りないのだ。
 だが専門知識のない陛下が各社に協力を呼びかけている間に時間は無駄に過ぎて希望の時間に間に合わなくなってしまう。

 !?

 突如頭に閃いた。
 と同時に彼の中に生まれたのは会社の存亡を賭けた決断時に生まれる高揚感と重圧。

『陛下のオリジナルレシピ・・・なのですね。』
『ああ、必要ならば直ぐにFAXでレシピを送ろう。』
『わかりました。お願い致します。ですが各社との連絡は私にお任せ下さい。
 私の方が話を通し易いと思われます。
 またお願いがございます。今回使用するオリジナルレシピを今後商業利用する許可を頂けますでしょうか?』
『それは構わない。』
『では見積もりと契約内容を当社で一括作成してお送りしますので30分お時間を頂きたいと思います。』
『30分で全て手配し切れると?』
『それが、陛下のご命令ならば。』

 覚悟を決めた声にルルーシュがどう思ったのかは知らない。
 だが彼の中で一つの決断が出ていた。
 彼の覚悟に応じるように苦笑するルルーシュの声が耳に響いた。

『そうだったな・・・。
 ならばルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。
 本日12時までにピザ100万枚を用意せよ!』
『Yes! Your majesty!!!』

 この瞬間、帝都中のピザ専門店を巻き込む一大事業が動き始めたのだった。



 * * *



 男性の語りに司会の女性が静かに質問する。

「よく30分で全てのピザ店の了承を得られたものですね。
 これはやはり貴方の手腕故ではないでしょうか?」

 だが彼は首を振って否定した。

「いいえ、陛下の人徳がなければ不可能でした。
 陛下がまず私の会社に連絡を入れたのは聖女様のおかげです。
 あの方がピザ●ットのイメージキャラクターグッズを愛用されていたからでしょう。
 以前、テレビ報道で当社のグッズを持っている聖女様が映し出されました。
 偶然だったのでしょうが、あのおかげで一時期ピザの売り上げが上がりグッズの配布も予定よりも早く終わる異例の事態が起こりました。
 それに私が直接連絡を取ったのは同じくデリバリーピザチェーン店を展開するライバル会社数社のみ。
 見積もりする為には当社とほぼ同等の数を用意できる全ての会社の了承が必要だからです。
 数を確保する為に出勤していた社員全員に傘下にある全ての店舗及び帝都中のピザ専門店とイタリア料理店に連絡を取らせました。
 彼らが協力を承知してくれなければ私は陛下のご命令を遂行する事は出来なかった。
 貴女もご存知でしょう。
 未だ皇帝陛下は個人収入で生活されており税金を全て国の為だけに使用されています。
 皇帝としての正当な報酬を受け取られていないのです。
 税金を納めるだけでは私達の為にご尽力下さる陛下に恩返しする事が出来ない。
 私は100万枚のピザが陛下にご恩をお返しするチャンスなのだと思いました。
 しかし一方で経営者としての計算も必要だった。
 それが今回のキャンペーン・・・陛下オリジナルレシピを完全再現した『オールハイル・ルルーシュ』です。」

 示されたのはスタッフが運んできた番組の本当の主役とも言えるピザ。蓬莱島で配られたのと同じレシピで作られたそれに司会のアナウンサー二人がごくりと喉を鳴らす。鼻を擽る芳しい匂いに仕事と言う事も忘れて今すぐ口に入れてしまいたい誘惑に駆られてしまう。
 焼きたてを運んできたとわかる湯気がテレビカメラを曇らせてしまい、近付き過ぎたカメラは慌てて下がり他のカメラに切り替え望遠でピザを映す。アナウンサーと同じくピザの誘惑に我を忘れたのだろう。スタッフの様子に誇らしげに笑いながら彼は話を続けた。

「経営者として会社の為に利益を上げねばならない。その一方で陛下にご恩をお返ししたい個人的な感情がある。
 故に私は提案したのです。100万のピザについては材料原価のみで納入しようと。」
「え!? でも運搬費とか人件費、光熱費や施設維持費、他にも経費が掛かるのでしょう?
 それでは完全に赤字ではありませんか?」

 男性アナウンサーの質問に彼は肯定するように頷いた。

「その通りです。ですが失った以上のものを取り戻す事が出来る帝都全てを巻き込んだキャンペーンを提案しました。現在の陛下オリジナルピザ期間限定販売キャンペーンがそれです。
 勿論それが賭けである事は彼らも承知していました。それでも協力を惜しまないと快く受けてくれたのです。
 陛下のご希望通り12時までにピザを100万枚指定された飛行場に届ける事が出来たのは全てのピザ店の協力、そして社員全員の協力があってこそです。この場を借りて改めて御礼申し上げます。
 本当に・・・本当に、有難うございました。」

 深く頭を下げる姿に誰もが感動していた。
 思わず涙ぐむ女性アナウンサーは慌てて目尻を拭い話を続ける。

「だから帝都中のピザ店が一斉に臨時休業という事態になったのですね。
 三日も休む店もあり一時は何の異変かと騒がれましたが・・・。」
「ええ、急な話で材料は各店舗で用意できるだけ用意する体制を取りましたので。
 三日分の小麦粉を使い果たした店もあったので材料確保が出来ずに休業日が延びたそうです。」
「しかしその努力の甲斐あって蓬莱島の人々にピザを届ける事が出来た。
 ここで疑問が生まれるのですが、何故陛下は日持ちしない焼きたてのピザに拘れたのでしょうか?」
「私も疑問に思いました。しかし陛下の深い考え故だろうとピザを用意する事に専念したのです。
 疑問は後日解消されましたが。」

 その言葉に応じるように司会の男性アナウンサーがモニターを示した。
 映し出されたのは蓬莱島の暴動を抑える為に壇上に立つ皇神楽耶の姿だった。

「皆様もご存知の通り、こちらは皇コンツェルン総帥である皇神楽耶氏です。
 彼女の報告によりますと蓬莱島の飢餓の原因は物資の横流しによるものだったそうです。
 これは後日事実であると確認されました。発表がされた時点で横流しに関わった黒の騎士団メンバー全ての者が拘束されており、資材を受け取っていた企業が弁済すると確約したとの情報も入っています。
 もしや陛下は全てをご存知の上で横流しし難い物資を選んだのでしょうか?」
「可能性として高いと思います。陛下ご自身は否定されておりますが話が急すぎる事も情報が流れて支援に乗じて利益を得ようとする業者を寄せ付けない為ではないかと考えられます。」
「蓬莱島で利を得ていた企業が関わってくる可能性も考えられますね。事実確認は出来ませんのでこのお話はこれまでとさせて頂きます。
 お話は変わりますが今回話題のピザの名前についてお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 番組本来の目的であるピザを前に女性アナウンサーが話題転換する。
 微妙に目がピザに向けられつつある様子に苦笑して「冷める前に味見して下さい」と勧めると彼は話を再開した。

「最初、名前について揉めましたよ。全く決まらなくて困ったものです。
 そんな時、蓬莱島で100万人の日本人が陛下への感謝の気持ちを込めて叫ぶ姿が再放送されたのです。
 感動しました。ブリタニア国民以外にも陛下を想ってくれる人たちがいる。
 陛下への感謝の想いを込めて私達はいつもこの言葉を叫ぶ。
 ならば陛下の想いの篭ったピザの名にこれ以上相応しいものはないと満場一致で決定しました。」
「おいっひーでふぅっ!」
「テレビの前ではしたないだろう。ちゃんと飲み込んでから話しなさい。」

 ピザを頬張り叫ぶ女性と同じくピザを一切れ手にしながら窘める男性。
 番組進行忘れているだろうお前ら。
 視聴者が思わず突っ込みを入れるほどに彼らは目の前にあるピザに夢中になっている。
 カメラマンや他のテレビスタッフが哀れでならない。
 自分達も食べたいのに目の前でピザは消えていく。
 仕事を放り出さないのは最後の理性が押し留めているから。
 だが彼はそんな周りの状況に気づいていないのか熱弁を奮い始める。

「そう! 美味しいでしょう!!
 レシピ通りに作ったピザを食べた瞬間、私はキャンペーンの成功を確信しました。
 実際始めて一週間で売り上げ目標三倍を達成しております。
 このピザは食べた瞬間に広がるチーズの香りとトマトソースに配合されたハーブと調味料の絶妙なハーモニーがトッピングされた肉と野菜を纏め上げ舌を唸らせる。サックリとした歯ざわりの生地がその全てを包み込み至福の時を齎すのです。
 会議でも試食した全員が叫びました。『オールハイル・ルルーシュ』と!
 さあテレビの前の皆さんも今すぐお店に飛び込んで下さい。当社のチェーン店でなくとも帝都中の全てのピザ店が同じピザを提供しております。私は皆さんにこのピザが齎す幸せを味わって頂きたいのです! そして共に叫びましょう!!!」

 オールハイル・ルルーシュ!
 オールハイル・ルルーシュ!!
 オールハイル・ルルーシュ!!!




 * * *



「おいスザク・・・。」
「なんだい? ルルーシュ。」

 本日もご機嫌斜めな皇帝陛下の呼びかけにナイト・オブ・ゼロが朗らかな声で応える。
 彼らの目の前に映っているのは国営テレビの生放送番組。
 テレビにはピザを取り合うテレビスタッフの姿とその前に立ち腕を振り上げ「オールハイル・ルルーシュ!」と叫び続ける某社長の姿が映し出されていた。
 やがて収拾のつかない状況に誰かが機転を利かせたのか、後で流す予定だったと思われるここ数日間の帝都中のピザ店の様子を記録したVTRが流れ始めた。
 そこでも店中で「オールハイル・ルルーシュ!」と叫ばれ続けている。
 この状況を見て悪逆皇帝を目指すルルーシュが不機嫌にならないわけがない。

「お前、あの時言ったよな。
 無茶な勅命を出せば帝都中のピザ店が臨時休業に追い込まれる。
 我侭な命令で国民に迷惑かければ悪逆皇帝としての名が轟くと。」
「うん。言ったね。」
「じゃあこの状況は何だ!?」

 ルルーシュに言われなくてもスザクはちゃんと見ているし知っている。
 帝国中の店舗が臨時休業に追い込まれながらもそれを喜びと感じ苦難に立ち向かった某社長の感動の語り。
 そして彼に協力した全ての人と客がルルーシュを讃えている。

「100万のピザの行方を察するだろうとは思ってたけど・・・まさかこんな展開になるとは思ってなかったなぁ。あはは☆
 でも良いじゃないか。誰も不幸になってないし。」
「俺は不幸だ! しかもこのキャンペーンは支店のある全ての国で展開される予定なんだぞ!?
 エリア支配されていた国はブリタニアの企業が撤退したわけじゃない。この会社も各エリアに店舗を展開していた。
 つまりエリア支配されていた全ての国にこのピザが出回るという事だ!
 これでは悪逆皇帝の名を上げるどころか・・・っ!!!」
「皆ルルーシュが大好きって事だよ。良いことじゃないか。」
「良いわけあるかぁあああ―――――っ!!!」

 本日も賑やかなブリタニア皇帝の自室。
 全ての行動が裏目に出る皇帝の姿に、仕える臣下は皆微笑む。

 神聖ブリタニア帝国99代皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア

 今日も悪逆皇帝の道を逆走中なり☆


 END


 お忙しい中メールを下さり有難うございました!
 ってな訳で「許可が出た! きゃっほーい☆」とノリノリで書いてみました。
 100万人分のピザ調達に関する裏話「皆大好き☆皇帝陛下」をお送りします。

 突っ込まれる前にここで一つ話の矛盾を。
 蓬莱島での飢餓の放送とほぼ同時にC.C.がピザを運んできていますが、このお話ではあのテレビの報道はブリタニア本国の方が早く放送されて蓬莱島や日本では半日くらい経ってから同じ報道がされたと思って下さい。
 じゃないと時差を考えても計算合わないし話の辻褄が合わないので。(滝汗)
 うう・・・力量不足で申し訳ないです。
 一応レシピの使用権利についても調べてみました。
 レシピの書き方ならば独創性があれば著作権が発生。紹介のための写真は間違いなく著作物扱いになるとの事。
 ではレシピの使用権利はと言うとよほど個性的なレシピでないと法的に権利を認められないそうです。
 但し商業利用となるとオリジナルレシピと認められるものは権利者の許可が必要なようです。(細かいところは難しくてわかりませんでしたが。)
 難しいお話はさておき、このお話は100万のピザ原価提供に協力した全ての店にレシピ使用許可が出ていてオリジナルピザ『オールハイル・ルルーシュ』を販売しており、空前のピザブームが起きているというギャグです。(大笑)
 ほぼ全部のピザ店が作って売り出しているのに広告にあった「蓬莱島に贈られたピザの味を貴方に! ルルーシュ陛下オリジナルピザ期間限定発売!!!」という煽り文句に蓬莱島の人々の姿を思い出し、ルルーシュ陛下のお心に打たれた国民がこぞって買いに来るので何処のピザ店も売り上げが上がるばかり。しかもあまりの美味しさにリピーター続出で数が足りなくなり数量限定販売の店まで出てくる始末・・・。
 そんな妄想が浮かんでしまいこの裏話が出来上がりました。
 お楽しみ頂けたなら幸いですv

 では今回はこれにて失礼しますね。
 次回作、楽しみに待ってます☆

 2008.11.9 SOSOGU