17話ネタ 戦闘後のロイドとセシル 〜自堕落上司操縦士〜

 特派ネタのギャグSS。

 結果的に死刑囚藤堂鏡志朗は黒の騎士団に奪取された。
 ランスロットが阻止しようと出撃したものの7対1(実質6対1だったが)と数の上で圧倒的に不利だったにも関わらず増援が到着するまで粘っただけその戦果は賞賛に値するものだっただろう。
 脱出ブロックもなく常にランスロットと生死を共にするデヴァイサーも無事だったのだ。
 特に藤堂の操るナイトメアの攻撃は下手をすればコクピットを貫いていた。
 かわした事自体が奇跡と言えるあの状況。多少の損傷はあれども僥倖と言って良い結果だ。

 だがもう一つの問題は別だ。



「あ・・・あのセシル君?」
「ロイドさん言いましたよね? データ採取の為にスザク君の出撃数が増えたから脱出ブロックをつけようって。
 あれ随分前の事と記憶しておりますが未だについていないってどういう事ですか?」

 口調は丁寧だが指の関節を鳴らしてじりじりとにじり寄って来るセシル。
 彼女の微笑みは明るい照明の下である為か、異様に凄みのある影が見えはっきり言って・・・怖い。
 ロイドはそんな微笑の魔人の恐怖に震えながらじりじりと後退し、終には壁際に追い詰められてしまった。
 両手で身体を支えるかのように後ろの壁に張り付かせロイドは部下であるはずのセシルに必死に抗弁する。

「いやだから特派の予算を全部ランスロットに回したからで・・・。」
「脱出ブロックはランスロットの機能の一つ。予算が無かったなんて言わせませんよ。
 決めた時にはまだちゃんと資金が残っていた事を私が知らないはずが無いでしょう。」
「えとその・・・言ってなかったけど他にもつける予定の機能があって、ほらさっきのスラッシュハーケンも強化する予定だし。」
「下手な言い訳は聞きません。大方面白い機能をつけようと下らない事を考えてデヴァイサーよりもそちらを優先した。
 そういう事ですよね。」
「はい・・・でもそれは研究者としての知的好奇心に基づいた判断で・・・。」
「ロイドさん。」

 尚も言い訳を続けるロイドの言葉をセシルは先程よりも柔らかで温かみのある微笑みを浮かべ遮った。

 ごっくん

 生唾を飲み込み冷や汗を流すロイドは蛇に睨まれた蛙の様に身体を縮こまらせる。
 そんなロイドにセシルは首を傾げて言った。

「正しい予算の組み方を教えて差し上げましょう。」
「遠慮します。」
「拒否権はありません。教えて差し上げると言ったのです。
 さあこちらへ来て下さい。」
「って!? 襟首掴んで何処へ連れてくの!!?」
「予算の組み方を教えて差し上げるのです。その後でスザク君にちゃんと謝って下さいね。」
「今! 今すぐ謝ってくるから止めて!! ホント直ぐに言ってくるから!!!」

 ロイドが悲鳴を上げるがセシルの力は緩まない。
 というか、彼女の細腕の何処にそんな力があるというのだろうと傍に控えていた者達は引きずって行かれるロイドをただ見送るのみ。

「助けてスザクく〜〜〜ん!!!」

 ばたん!

 閉じられた扉の向こうで行われる『講習』がどんなものなのか。
 それは扉越しにも聞こえてくるロイドの悲鳴と物音が教えてくれる。

 その後、特派メンバーの数人が枢木准尉に慰められている青あざだらけのロイドを見かけたそうな。


 END


 17話を見た時に思った事は色々ありますが・・・SOSOGU的に一番だったのはロイドさん。

 脱出ブロックつける気あったんだ!
 そんなものつけずに性能UPを優先すると思っていたよ。

 それにしても・・・ラクシャータさんってロイドさんと同じ思考の持ち主なのでしょうか?
 「キョウトのおじーちゃん達ももっと良いパーツ回してくんなきゃ。」って言ってましたが。

 それって『部品』の事? 『パイロット』の事? それとも両方ですか?

 どちらとも取れる台詞に彼女の性格が見通せません。
 けれどカレン達にパイロットスーツを渡していたから人命を大事にしてくれる人だと信じてます。

 2007.2.12 SOSOGU