18話ネタバレギャグ 〜適材適所〜

 黒の騎士団のほのぼの系ギャグSS。

 黒の騎士団再編成発表。
 どれもこれもゼロらしいと言えばらしいし文句はない。
 だが扇とカレンには一つだけ気になる人事があった。

 第二特務隊長 玉城真一郎

 別に彼が向いていないという意味で気になっているのではない。
 だが特務隊なんて微妙な部署では箍が外れて暴走しそうだと思うのだ。
 それだけに何故彼を特務隊長に任命したのか。
 第一特務隊は無茶しそうにない者を配したのに。
 二人は顔を見合わせて首を捻り・・・・・・やはり訊く事にした。



 役職なしのC.C.と何の打ち合わせなのか、彼女と話しているゼロを捕まえて扇は訊ねた。

「ちょっと良いか? その・・・今回の組織編成について。」
「不服はないと言ったと思ったが?」
「それは勿論です。けど・・・・・・第二特務隊の玉城だけが気になりまして。」
「ああ、アイツか。」

 C.C.も気になっていたのだろうか?
 問う様にゼロを見上げて答えを促す。
 三人もの人間が疑問に思ったと言う事実に観念したのか、ゼロは嘆息して三人を自室へ入れた。

「やはり不思議か。」
「アイツじゃ無茶しそうですから。」

 問うゼロにカレンが返し扇も彼女の言葉を補うように問いかける。

「計画重視の君にとって扱い難いんじゃないか?」
「確かに最初は別の部署へ回そうと思った。だが・・・・・・。」
「だが?」
「今更ヤツが誰かの配下に入る事を由とするか?」
「「あ゙。」」

 脱力気味なゼロの答えに二人は玉城の性格を思い出す。
 お祭り大好きノリでレジスタンス活動。そうかと思えばいざという時は逃げ腰になる。
 長い付き合いの自分達でさえたまに扱いに困る事があるのだ。
 精密な計画を立てて規律を大切にするゼロにとってある意味対極に当たる人間。
 この大事な時期に駄々を捏ね始めたら厄介だ。

「他の部署に影響が少なく、尚且つヤツに合う役職を考えたが特務隊以外思いつかなかったのでな。
 結果としてああなっただけだ。」
「それはつまり・・・・・・。」

 こっくん

 仮面を大きく前後に動かすゼロに二人は今頃お祭り騒ぎでも起こしていそうな初期の頃から共に戦ってきた戦友に憐憫の情が湧いてきた。
 体面で言えば昇進、だが実態は・・・。

《《窓際族決定って事ですか。》》

「別に前線に出さないと言うわけではない。
 大事な局面において奴が黒の騎士団の士気を上げる事もあるだろう。」

《それは希望的観測というのではないでしょうか。》

「暫くは様子見だ。今後大きな組織改編はないだろうが細々とした調整は随時行う。
 だが私も忙しく玉城ばかりを気に掛ける訳にはいかない。
 というわけで、だ。」

 ぽん

「え?」

 不意に肩を軽く叩かれて扇は間の抜けた顔で肩に手を置くゼロを見返す。
 表情の見えない仮面の向こうでゼロが微笑んでいる気がして扇は凝り固まる。
 嫌な予感に耳を塞ぎたくなるがその前に勝負を決めたのはゼロだった。

「よろしく頼むぞ副指令。」
「ええ!?」

 俺がぁ!?と自分を指差しゼロから距離を取る。
 だが時既に遅し。
 畳み掛けるようにカレンもノって来た。

「頑張ってね扇さん! 影から応援してるから!!!」
「ちょっと待てカレン!?」
「ほら私は0番隊所属だし。ゼロ直属の親衛隊の☆」
「こら待て! あ、そーだC.C.は!?」
「私に役職は与えられていない。幹部でもない私が口出しすべき事ではないだろう。」

 蜘蛛の糸を掴むように救いを請う扇だが、相変わらず何を考えているのかわからない謎めいた少女はいつの間にかピザのメニュー表を睨むように見つめており、冷たい言葉を返すのみ。

「「「よし決定☆」」」

 ぱちぱちぱち

 三人が無感動に拍手するが嬉しいはずもない。
 こうして黒の騎士団の新組織編成発表日、扇にもう一つの役職が振られた。

 勿論、彼が今後ゼロが決めた人事に口出しする事は無かった事は言うまでもない。


 END


 ただの突発ギャグです。
 もしかしら今後のお話の展開で人事異動あるかもしれないけれど・・・残り話数的にないと踏んで書いてみました。
 お楽しみ頂けたら幸いです。

 2007.2.26 SOSOGU


 上げた後で玉城の役職間違えてたのに気付いてちょこっと修正しました。(滝汗)

 2007.2.26 SOSOGU