〜明かされた秘密 前編〜 シンの目覚めはいつも温かな温もりを確認する事から始まる。 《マユ・・・大丈夫。俺はマユを守れてる。 この腕の中の温もりがその証。》 「マユ・・・。」 呟き目を薄く開くと飛び込んでくる色に微笑んだ。 《ああ綺麗なピンク色・・・・・・・。》 「ってピンク色!?」 一気に意識が覚醒する。 ガバリと毛布を跳ね除けるとそこには『ラクス・クライン』が寝巻き姿で寝ていた。 うわぁあああ〜〜〜!!! * * * 通路を歩くルナマリアの足取りは軽い。 アスランを食事に誘おうと思い部屋に向かい角を曲がるとそこには起こしに行こうと思っていたアスランがいた。 「ザラ隊長? 何でここにいるんですか。」 「ルナマリア。お早う。」 「お早うございます。 朝のバイキングに行くなら方向違うじゃないですか。 何でまたこんなところに・・・。」 「君こそどうして此処に?」 「私は隊長を食事にお誘いしようと思ってきたんです。 一人で食べる食事って味気ないでしょう。」 ルナマリアの返答に微笑みながらアスランは肯定する。 「確かに。俺は昨日はシンの部屋に泊まったんだ。」 「自分の部屋があるのに? ベッド狭く無かったですか??」 「それが昨日の夜、頼まれたトリィの修理とハロの改造の途中でシンとマユが一緒に寝てしまってね。 起こすのも忍びないし、ハロの改造の音で二人が起きてしまうかもしれないから俺が部屋を移ったんだ。」 「まあホテルの部屋に私物は殆どありませんしトレードしても問題ありませんもんね。」 「そういうことだ。 朝食がバイキングだから起きるのが遅くなればマユの好物がなくなってしまうかもしれないからと俺も起こしに来たんだ。」 「隊長やっさし〜。」 その優しさはシンに対してではないだろうが不器用ながらも気遣うアスランにルナマリアは少々見直した。 「あら? アスランにルナマリア。」 後ろからかかる声に振り向くとそこにはいつもの緑色の軍服を纏ったフレイとアビーが立っていた。 「フレイ! アビーも。」 「二人ともどうしたのよこんなところで。」 「隊長の部屋で寝てるシン達を起こしに来たの。 フレイ達は・・・ジュール隊長を起こしに来たの?」 「ええ。」 肯定するようにアビーが頷くと篭った叫びが響いた。 うわぁあああ〜〜〜!!! 聞き覚えのある声に皆身構える。 だが悲鳴の後は何の音もしない。 だが今の声は全員が聞いており気のせいではない。 「何今の声! シン!?」 「隊長の部屋の方向だわ。」 慌てて走り出したアスランを追って三人も走り出す。 自分にと宛がわれた部屋の扉の前にやってきてアスランが声をかけた。 「シン!? どうしたんだ返事しろ!」 何なんだよアンタは! どうやって此処に入った!! 貴方こそどうして此処にいるのよ! 此処はアスランの部屋でしょ!! マユは!? マユ〜〜〜!!! アンタまさか! 知らないわよアタシは! 返事は無いが無事らしく元気そうなシンの声が聞こえる。 その事にホッとしながらももう一つの声が気になる。 ドア越しのせいではっきりとしないが聞き覚えがある。 「女の人の・・・声?」 「シン! 此処を開けろ!!」 アスランがドンドンとドアを叩くが鍵は一向に開く気配は無い。 一方室内ではドアの向こうにいるアスランたちに気づいて悲鳴が上がっていた。 きゃ! 駄目よ開けちゃダメ!! 誤解されちゃうぅ!!! 《《《《誤解?》》》》 かしゅん 電子ロックが開く音がする。 アスランが扉を開くとそこにはザフト支給インナーのシンとネグリジェ姿のミーアがいた。 トリィ♪ アスランの肩に留まる昨夜修理を終えたトリィ。 電子ロックを開けたのがトリィだと察する。 だがこの状況は・・・何も知らない者が見たらラクス・クラインの浮気に見えるだろう。 とにかく何故彼女が此処にいるのか。 確認すべくアスランは溜息を吐いて問いかけた。 「ミ・・・一体どうして君が此処に?」 「部屋に行く約束してたのに寝ちゃったみたいってフロントに言ってぇ。」 「「「はぁあ???」」」 「そしたら部屋真っ暗でベッドが膨らんでるじゃない? 本当に寝ちゃってるみたいだったから・・・。」 「そのままベッドに入って寝たと。」 言い難そうにモジモジしているミーアの言葉を継いでアスランが言うと彼女はこくんと頷いた。 「だって暗くて頭くらいしか見えなかったし、まさかアスランの部屋に別の人が寝てるなんて思わないもの!」 アスランの視線に耐え切れなかったらしくミーアは体をくねらせて更に言い募るが、皆呆れるのみ。 そして後方から冷たい声が響いた。 「随分・・・はしたなくなられた様ですね。ラクス嬢。」 「イザーク!?」 「昨日話せなかった事を話そうと思って来たんだが・・・。 もう良い、用件は済んだ。フレイ、アビー行くぞ。 こんな茶番に付き合ってられん。」 さっさとレストランに向かうイザークの後を二人は慌てて追う。 颯爽と歩くイザークの後姿を見送りながらアスランは友人の言葉を反芻した。 《聞きたい事・・・・・・ミーアの事か。確信したようだな。》 あまりに違い過ぎるラクスとミーア。 姿と声が同じであっても二人が別人だと気づく者は他にもいるだろう。 後でどうフォローしたものかと考え始めるアスランだが、ミーアはアスランの悩みに気づかず必死に縋り付いて弁明を続ける。 「あ、あの。誤解しないでねアスラン! 何も・・・本当に何も無かったから!!」 「大丈夫ですよ。少なくとも隊長も私も誤解しません。」 必死に婚約者に縋るミーアに答えたのはアスランではなくルナマリアだった。 彼女も呆れているようで軽く溜息混じりに答える。 「何で言い切れるのよ!」 「あれ。」 ルナマリアが指差す先、ベッドの毛布の塊に全員が注目した。 よく見るともぞもぞ動いている。 「もしかして!」 がばぁ! シンが毛布を取るとそこには寝ぼけて目を擦っているマユがいた。 「マユ!」 探していた妹の無事な姿に喜ぶシンに状況がわかっていないマユは寝ぼけ眼でシンを見上げる。 マユにとってはいつもの朝の風景。 兄の姿を見止めてにぱぁと笑顔を浮かべながらマユはまず挨拶をする。 「おにーちゃんおはよー。」 「大丈夫か? この馬鹿女に変な事されなかったか??」 「子供がいたの!? しかもこんな小さな!!」 「マユがいる部屋でシンがラクス様に手を出すなんてありえませんよ。 真性のシスコンですから。 行きましょう隊長。」 「ああ・・・とにかく君は着替えて自分の部屋に戻るんだ。 シン、マユの好物いくつか取っておくからゆっくり来ると良い。」 「有難うございます隊長! 本当は頼りになるんですね!!」 「こんな事で尊敬の目で見られてもな・・・。」 いつも反発するばかりの部下に尊敬してもらえるのは喜ぶべき事なのだが・・・こんな理由で慕われるのは嬉しくない。 とぼとぼと部屋を出て行くアスランの姿が全く見えなくなった時、ミーアは理解した。 確かに誤解はされていない。 だが当初の目的は『アスランはラクスのもの』だと周囲に見せ付けてやる事だったのだ。 結果は散々。 『ラクス・クライン』を軽蔑の目で見るザフトの隊長。 アスランの周りにいた女性も何の打撃も受けておらずアスランは嫉妬すらしてくれない。 「何で! 何でこーなるのよーっ!!!」 開け放たれたドアからミーアの叫びがこの部屋の一角全てに響き渡った。 * * * 朝の目覚めにコーヒーでなく紅茶を選ぶのはやはりフレーバーティーによるバリエーションの多さからか。 フルーティーな香りを楽しみながらフレイ達は女三人寄り合って楽しそうに話をしている。 「今日はシン、オフなのよね〜。いいな〜。 フレイもオフでしょう?」 ルナマリアの問いにフレイはティーカップを降ろして答える。 「ええ、ちょっと町で買い物してくるわ。 ミリィ達もこの町にいるからさっき連絡取ったし、少しお茶してくる。」 「私、メイリン達が休み取るからミネルバに戻らないといけないのよ。お土産よろしくv」 「おっけー。 明日アビーと一緒に退艦と着艦挨拶するからその時にね。」 ウィンクするフレイにアビーも心得たと微笑み頷く。 フレイと違いアビーはミネルバに移る為、必要なものを基地内のショッピングセンターで買わなくてはならない。 こっそりフレイに耳打ちして頼みごとをするあたり充実していると言われているザフトのショップも完全ではないらしい。 その隣のテーブルではアスランに取って置いてもらったおかずを頬張りながらマユがシンを見上げていった。 「おにーちゃん。今日ウミでしょ?」 「ああ! だけど時期的に泳げないからな。 波打ち際で遊ぶのが限界。だけど砂浜で遊ぼうな。」 「おしろつくったりカイさがしたり?」 「今日はレイも一緒だ。 メイリンやヨウラン達も一緒に海に行くって。 ビーチバレーでもしようか。」 「ボールなげるの?」 「そう! 今日のお昼は何でも買ってやるからな〜☆」 ごすっ! まるで重いものが当たったかのような音と共にシンは椅子から吹っ飛んだ。 だがそれはマユから見ての話。 動体視力の優れているアスランとイザークはフレイが投げた靴がシンの頭にぶつかる瞬間を目撃していた。 「何すんだよ!」 「甘やかすだけが愛情じゃないのよ!? マユの為にもそんなセリフを吐く事は許さないわ!!!」 マユに関しては譲らないシンとフレイの喧嘩が始まり慣れていないホテルの客達は何だ何だとフレイ達のいるテーブルを覗き込んでくる。 その視線に耐えながらアビーは溜息を吐いた。 「私・・・・・・フレイみたいに出来るかしら。」 「ハハ・・・私も彼女みたいには出来ないと思う。」 ルナマリアもシン相手にあそこまで出来るフレイは凄いと思う。 思うけどこの状況は恥ずかしい。 《《紅茶飲んだら退散しよう。》》 一気にカップを煽る二人。 そんな騒がしい中、イザークとアスランは新たにミネルバに配属されたフェイス、ハイネと食事をしていた。 フォークに刺したプチトマトを掲げるように持ちながらイザークが愚痴る。 「一つの艦にフェイスが三人とは、議長は何をお考えなのか。」 イザークがそう思うのも無理は無い。 最高評議会が認めたフェイスがそうポコポコ同じ場所にいては命令系統が乱される。 それを防ぐ為にも、また力が一つの隊に集中しすぎないようにする為にもこのような人事はあってはならない。 にも関わらずハイネはミネルバへと異動となった。 言われてハイネも苦笑して答える。 「まあ他の隊の人間は皆そう思うだろうよ。 実際異動命令を受けた俺自身思うことだしな。」 「ハイネ・・・だったな。よろしく頼む。」 「こちらこそ。」 「マユの事でも。」 アスランの言葉にハイネはちらりとシンとマユのテーブルに目を向ける。 喧嘩するフレイとシン、好物の苺に練乳をつけるマユ。 けれど温かな空気が漂う風景。 戦争中の軍には似合わない幼子の姿を見止め、答える。 「ああ。」 複雑そうな表情のハイネにアスランは己の無力さを思い知った。 * * * オーブに届けられた書面にウナトは渋い顔をする。 「遂に来たか・・・・・・。」 それは大西洋連邦からのオーブ軍派遣要請。 要請とは名ばかりの強制だ。 そしてその裏にロゴスの影がある事も彼にはわかっていた。 スエズでの戦いで巻き返しを図ろうとしている事は察せられた。 巻き込まれるだろうと分かっていた。 それでも調印しなくてはならない状況だった事も確か。 理念に反する命令にウナトはどうやったらこの先オーブを守れるかを考えた。 長い時間項垂れたウナトは意を決した様子で顔を上げ通信機のスイッチを入れる。 ぴっ 軽快な電子音が今の彼には重い。 「トダカ一佐を呼んでくれ。」 トダカはキラが信頼していた人物の一人。 ウナトは・・・苦渋の決断を彼に託す事を決めた。 《恨んでくれて良い。 これが自分勝手な感傷だとも分かっている。 だがこの派遣の本当の意味を・・・託したい。》 ぽたりと一滴のしずくが机を濡らした。 ギルバートは既に去りミーアもマネージャーに引っ張られて去って行った。 ミネルバに戻ったアスランはやっと一人きりの時間を手に入れられるとホッと息を吐いたところでタリアに呼び出される。 艦長室に行けばタリアはフレイの写真と彼女の経歴をプリントアウトした書類を机に出し話し始めた。 その命令内容にアスランの表情は険しくなっていく。 「俺に・・・監視をしろと?」 「ええ、今日会うのはオーブの旧友だとは聞いているわ。 けど今はこんな状況よ。 フレイが情報漏洩するとは思っていないけど彼女はナチュラルなのよ。」 「彼女が裏切るとでも?」 「今も言ったけどそんな事思っていないわ。少なくとも私は。 けれど他の・・・彼女を知らない人間は疑うでしょう。 上層部には彼女の行動に目を光らせる様にと命令を受けているの。 建前に過ぎなくても監視は必要なのよ。」 フレイの人となりはタリアもよく知っている。 ナチュラルだとかコーディネイターだとかそんな種族の差を彼女は克服する為にザフトに入ったのだと履歴書にも記されている。 同じ人間でありながら遺伝子操作により生まれた能力格差が経済格差を生み出しこの戦争の火種を作っていった。 その歪みを乗り越えたいという彼女はとっくに克服しているように見える。 何よりもコーディネイターであるマユを慈しむ姿を見て疑う者はミネルバにはいない。 『建前』という言葉とタリアの人柄にアスランは軽く息を吐いて答えた。 「わかりました。お受けします。」 「頼むわね。一応休暇扱いにしておくわ。 下手に知られればクルーに動揺が広がるし。」 「はい。では失礼します。」 ドアが閉まりアスランが去った。 数分後、タリアは再び通信機を起動させる。 「悪いけどハイネを呼んでくれるかしら。ええ、至急よ。」 それだけ言うとタリアは通信を切った。 そして机から体を逸らし空を見て苦い顔で呟く。 「監視されているのは・・・彼女だけじゃないのよ。アスラン。」 ハイネが配備された本当の理由。 知らされていたタリアの心中は複雑だった。 休暇をもらってやってきたのは見渡す限りの砂浜。 日の光をうけてキラキラと輝く波は自然が持つ美だ。 「おにーちゃん! ウミー!!」 「マユ、あんまり走り回ると転ぶぞ。」 途中で買ったサンダルで砂浜へ駆け出すマユにレイが相変わらずのポーカーフェイスで声を掛ける。 レイの性格を知っていなければ無関心ながらも儀礼で注意しているようにしか見えない。 相変わらずの親友の言葉に笑いながらシンが答えた。 「砂地だから平気だって。 あ、でも貝があると危ないからサンダル脱ぐなよ〜。」 「殆ど人がいないのね。」 「海水浴のシーズン過ぎてるからな。 でもほら名物料理は楽しめるし。獲れたての貝を焼いてたし。」 「食べ過ぎはデブの元なの!」 お気楽そうに答えるヨウランにメイリンはむくれた顔で答える。 この間ルナマリアとシャワーを浴びた時に自分より背が高い姉のウエストが自分より細い事を知りダイエットを決意したばかりだ。 そんな女心を理解しない友人にぷいっとそっぽを向いたメイリンにヴィーノが苦笑しながらも作業を続ける。 パンっと開いたカラフルなビーチパラソルはレンタルしたもの。 チェアも用意したところで声を張り上げた。。 「よーしパラソルも立てたし、ビーチバレー始めようか。」 「俺飲み物買ってくる。マユ、何が良い?」 「オレンジジュース!」 「わかった。じゃあちょっと待ってろよ。 小父さーんジュース頂戴!」 小走りに砂浜の片隅にある小さな出店へ駆け寄るシンに店の中年男性は珍しい客に顔を綻ばせた。 注文したジュースを差し出されてシンはカードを取り出す。 「じゃあお勘定これで。」 「兄ちゃん。こんな出店でカード使えるわけないだろ。 こういうところではキャッシュ。現金払いが鉄則なの。」 「え。」 こっきん 固まるシンに店員も困った様子で訪ねる。 シンの様子のおかしさに気づいたレイ達も店へとやってきた。 若い少年少女達だが全員が整った顔立ちをしており最近見慣れたザフト支給のタオルを持っている事に気づいて店員は更に顎を掻きながら尋ねる。 「見たところ若いけど・・・ザフトの軍人さんみたいだね。 現金無いの?」 「えっと・・・プラントではカードしか使わなかったし。」 「基地でも全てカード決済だったな。」 レイの言葉に皆頷くのを見てシンの友人達も当てにはなりそうにないと溜息を吐いて答えた。 「それじゃあ売れないな。」 《そ・・・そんなぁ・・・・・・。》 「おにーちゃん?」 見上げるマユにシンは更に焦る。 店員が悪いわけではない。こうした自体を考えて現金を用意してこなかった自分の手落ちだ。 だがこの状況は非常に拙い。 特にマユには何でも買ってやるといったばかり。 《・・・これじゃ面目ない!》 「マユ、ちょっと待ってて。現金引き出してくるから!」 「?」 「まあジュースくらいなら俺達小銭持ってるから払えるぞ。」 ヨウランが呼びかけるがシンはパラソルの傍らに置いたパーカーを羽織りながら答える。 「昼ごはんどうするつもりだよ。やっぱ取ってくる! レイ、バイク借りてくな!!」 返事を待たずにレイのカバンからキーを取り出すとシンは駐輪場へと走り出す。 大慌てで基地へ戻ろうとするシンにレイは声を掛けるがシンは振り向かない。 ブォオオ!!! 鳴り響くエンジン音にシンの忘れ物に気づいてメイリンが慌てて叫ぶ。 「シン! ちょっとヘルメット!!」 ノーヘルのままバイクに飛び乗って行ってしまうシンを見送り残されたレイ達はバイクの音が聞こえなくなるまで見送った。 相変わらず直情型のシンは周りの声に耳を傾けない。 わかっていたはずだが・・・と肩を竦めるメイリン達だがそれ以上に問題はレイだった。 「現金なら持ってると言おうとしたんだが。」 「レイ・・・遅いってば。」 ヴィーノが深く溜息を吐いてレイの肩に寄りかかる。 羽織っていたジャケットのポケットから取り出されたものにメイリンが悲鳴を上げる。 「やだその札束何よ!」 「ギル・・・議長が持たせてくれたんだ。 マユと一緒に海に行くと言ったら必要だろうと。」 《《《議長・・・親馬鹿だったんだ。》》》 海に行って財布の口が緩む事もあるだろうと思ったのだろうが・・・店の商品を買い占める勢いで買わなければこんな金額は消化できない。 はぁああっ 自分達が指導者と仰ぐギルバートの新たな一面にどっと疲れを覚えたメイリン達をさておいてレイはマイペースに行動を開始する。 「マユ、ジュースは俺が買ってやろう。」 「ありがと!」 柔らかな笑顔と共にジュースを手渡すレイにマユも満面の笑みで応えた。別にそれは悪い事ではないが・・・ちょっぴりお金を取りに行ったシンが不憫に思えるメイリン達だった。 後編へ |
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