〜意外な人物〜 C.E.73.9 L4に新たに作られたコロニー『アーモリー・ワン』は慌しかった。 軍事工廠のあるこのコロニーではつい先日完成した新造艦『ミネルバ』の推進式の準備が進められており、先の大戦の後、初めて作られた戦艦の雄姿を一目見ようと集まる人々でごった返していた。 プラントの守りザフトは戦後も志願者が絶える事がなく、現在地球のカーペンタリアとジブラルタルに駐留軍を配しながら本国であるプラントをも守る事が出来るほどの人数に膨れ上がっていた。 その多くは若者であり、成人したばかりの十代の少年少女が多く見受けられる。 今も尚、アカデミーに入学する者がいることを考えると世界はとても平和というには程遠い状況だろう。 ぶぉおおお 多くのMSが入り乱れ移動を行っているアーモリー・ワンの工場区。兵士の多くが怒鳴るように指示を出す騒がしい道を走るエレカが一台あった。 恐らくはまだ入隊したばかりであろう前髪に赤いメッシュの入った茶髪、緑の整備服の少年と紫がかった赤のショートヘアに真っ赤なザフトの軍服を纏った少女は工場の様子を見てため息を吐く。 「何かもう・・・ごちゃごちゃね。」 「仕方ないよ。こんなの滅多にない・・・っていうか初めての奴が多いんだし・・・・・・ってわぁああっ!?」 きゅきゅきゅっ 突如かかった巨大な影に慌ててハンドルを切ると危ういところで移動中のMSのザクの足を避ける。 お互い不注意と言うべきだろうか。それだけ今、皆が慌てているのだ。 そんな慌しさの渦中にあるのが新造艦『ミネルバ』。 運転している少年・・・ヴィーノはミネルバの整備兵、そして助手席に座る少女は同じくミネルバに配属されたMSパイロット、ルナマリアという。 「本っ当にごっちゃごちゃよね・・・。全くこんなに忙しいのにシンってば家族と面会だって?」 「その前に『妹』の為に色々買い物があるってヨウランに荷物持ち頼んでたよ。」 同じミネルバ配属のパイロット、シン・アスカ。 忙しいというのに半休とは言え休みを取っている同僚の噂話が始まる。 半分やっかみ、残りの半分はいつも怒りっぽい友人への好奇心。 アカデミー時代からいろんな意味で注目を集めていた少年が今頃どんな顔をしているのか。 口では文句を言いながら少し嬉しそうに二人が笑っているのは純粋に彼を心配しているからだった。 「アカデミーにいた頃も休みの度に妹に会いに行ってたっけ。」 「そうそう、本を読んでいたいってレイを無理やり引っ張ってって。私も一回だけ付き合ったことあったっけな〜。あれは見物よ。いつも眉間に皺寄せてるシンが妹に会った途端に眉を八の字にするの。 口元もだらしなく緩んでて・・・私、自分の目を疑ったわ。しかも悔しい事にシンの変貌振りに目が行っちゃってシンの妹の顔を見た覚えないの。」 「じゃあ急いで仕事終わらせて見に行かないとね。」 「そーゆー事。じゃあヴィーノ急いで!」 「アイアイサー☆」 ぶるぅおぉおおお 二人が向かう先はまだミネルバに乗せられていない新型機。それは再び燻る世界の火種だった。 アーモリー・ワンのエアポートは大勢の家族連れで賑わっていた。ロビーでは迷子が母親を呼んでいる様子や友達同士で来ているのか3人組の少年少女が寛いでいる姿も見られる。人々は皆、噂していた。 「やはり自衛の為の力は必要です。」 「ええ、いつまた戦いが起こるかわかりませんものね。」 「ナチュラルに我々の力を見せ付けておかなければ。」 声を抑えてはいるものの閉鎖された空間では響くもの。ロビー上の通路を通る人物はプラントの人々の言葉に悲しげに彼らを見つめていた。 2年前と変わらぬ金色の髪、深みのある褐色の瞳の少女は年齢に似合わぬ臙脂色のスーツを身に纏っている。 オーブ連合首長国代表首長カガリ・ユラ・アスハ 先の大戦で大西洋連邦を始めとした連合軍に蹂躙されたオーブは地球・プラントの停戦により復権した。その折に国民から代表にと望まれたのは前代表ウズミ・ナラ・アスハの娘、カガリだった。 それは戦後、最後まで力に屈しなかったウズミを支持するものが多かったという事。 だが、今のオーブが上手くいっているわけでもない。世界に立ち込める暗い空気を思いカガリはため息を吐いた。 「今はまだ仕方ないわ。そんな簡単にわかりあえるなら前の戦争もあそこまで悲惨なものにはならなかったでしょう? 」 「ミリアリア・・・。」 「だから、今できる事をやる。私達はその為に此処へ来たんだから。」 そう言ってカガリの左斜め後ろから微笑むのは右肩にショルダーバッグを掛けたラフな服装の女性。名をミリアリア・ハウという。明るい茶髪は二年前と変わらないが少し大人びた雰囲気を醸し出していた。 彼女の隣にいる黒のジャケットを羽織りサングラスを掛けた護衛はアスラン・ザラ。先の大戦ではジャスティスに乗り、終戦へと導いた英雄の一人として知られている。しかし父親が戦争を拡大させたプラント最高評議会議長パトリック・ザラであり、父親との決別の折にザフトを脱走した為に現在は微妙な立場にある。 今は無用な混乱を避ける為、オーブへ亡命しカガリのボディーガードを務めているのだ。 それ故に常にカガリの傍にいるアスランはオーブ出国時から気にしていた「カガリの服装」について再確認をした。 「カガリ、服はそれで良いのか? ドレスも一応は持ってきているんだろう??」 「どうだって良いだろ。服装なんて。特に今回は極秘会見なんだ。 独身のプラント最高評議会議長が盛装している女性と会っているところを誰かに見られてみろ。 それが会見の事など何も知らない奴らならばいらぬ誤解を生む上にゴシップ記事にもなりかねないだろう。」 「その辺は議長も考慮しているだろう。それに時には演出も必要だ。 気取る必要も無いがなめられても駄目なんだ。今の君はオーブの国家元首なんだぞ。」 サングラスの奥から諭すように光るエメラルドの瞳。アスランの言うこともわかる。 けれどカガリは自分のスタイルを崩すつもりは無かった。二人の論議が平行線しか辿らないとわかっているミリアリアが苦笑しながら声を掛ける。 「今更何処で着替えろっていうの? もう時間も無いんだし、いい加減妥協したら? 『アレックス』!」 未だ馴染まない呼び名。 二年前のオーブ亡命時に公式に『アスラン・ザラ』を名乗ることは出来ないと決めたもう一つの名前。 改めて思い知らされる現実にアスランはそれ以上何も言わなかった。 辿り着いた先のエレベーターでは数人の護衛が三人を出迎える。けれど乗り込んだのはカガリとアスランの二人だけ。 ドアの前に立ち、カガリは残ったミリアリアに少し寂しさを感じる微笑を浮かべて言った。 「済まないな。ここから先はお前一人だ。」 「大丈夫です。この二年で私だって鍛えられてますから!」 「ザフトが誇る最新鋭の戦艦ミネルバ。そしてお前の目から見たザフトを教えて欲しい。 彼女の事をよろしく頼む。」 「ご安心下さい。危険はありませんし・・・ただ、議長からもご連絡させて頂きましたが軍事機密の為に外からしかご覧になれませんが、本当に宜しいのですか?」 エレベーターの外に控えているプラント側の秘書の一人が困惑した表情で問いかけるがカガリは揺らぎない声で答える。 「それは勿論初めから承知している。ミリアリア、頼んだぞ。」 「お任せ下さい。ではまた後程。」 ぴしゅっ! 閉じたエレベーターの扉。ミリアリアは「案内をお願いします。」と今まで一緒に来た護衛に毅然とした表情で言った。 「えーとチョコレートは絶対に欠かせないだろ。それからマユが欲しがってた魔法ステッキ(キャンディ入り)と犬柄ビーズクッションと・・・・・・。」 「おいシン! 一体どれだけ買うつもりだよ。それに俺たちの分は何時買いに行くんだ。」 「そんなのよりマユの買い物が先! あ・・・この服、マユに似合いそうだ。すみませーん! この服、サイズ他にもありますか!?」 「だーっ! もーイー加減にしろって!! 俺はもう持たねぇぞっ!!?」 「いいよもうっ。俺が持つから。」 只今雑貨店で幼い子向けのお菓子&おもちゃコーナーを漁っているこの二人は、もう直ぐ推進式のミネルバのクルーである。 浅黒い肌をした黒い後ろだけクセっ毛の少年はMS整備士であるヨウラン・ケント。口を滑らせたりしては顰蹙を買う事があるが、基本的にお人よしな性格をしている。今回はその性格が仇となって抱えられるのが奇跡な位の大荷物を抱えることになり今も腕が震えていた。 もう一人はヨウランとは対照的な白い肌をした少年。特徴的なのは燃えるような赤い瞳、白い肌とクセのある黒髪がその強い輝きを際立たせている。 彼の名はシン・アスカ。二年前のオノゴロ侵攻戦の折に家族を失い、助けてくれたオーブの将校の薦めで生き残った『妹』と共にプラントへ移った。 当時まだ親の庇護が必要な14歳。その上、妹のマユはまだ2歳という幼さ。幸いオーブの将校・・・トダカが後見人となりオーブ政府が用意した補償金を少しずつ送る手続きを取ってくれた為、直ぐに生活に困る事は無かった。 けれど何時までも頼るわけにはいかない。 《マユは俺が守る!》 固い決意を胸にシンはザフトのアカデミーへ入る事にした。 全寮制のアカデミーは衣食住付き。基本的に金の掛からないザフトのアカデミーだが、最低でも3年の従軍が義務付けられている。もし義務期間中に退役する場合はアカデミー在籍時に掛かった費用を支払わなければならないという結構シビアなところのある場所だが、シンの様に経済的問題を抱えている者にとってはありがたいところだった。 残る問題は妹のマユだけ。 《補償金の一部でマユを預かってくれる施設を探して・・・それしか方法は無い。》 離れ離れになるのはシンも辛かった。 家族を失った悲しみに耐えられた最大の理由がマユの存在だったからだ。 「やぁーっ! ひとりはやぁ――っ!!!」 「大丈夫だマユ。4年したらお兄ちゃんが迎えに来るから。 休みが取れたら必ず会いに来るから。だから待っててくれ。」 「おるすばんはヤ―――っ! まつのはヤなの!!!」 まだ2歳の幼子に世間の道理がわかるわけが無い。 顔中に涙と鼻水の洪水を起こして泣き叫ぶマユに、それでもシンは必死に言い聞かせた。 「俺は必ず帰ってくるから。」 「いやぁ・・・。」 「それにトダカのおじさんがメールを送ってくれるけど、俺はザフトのアカデミーに入るからオーブ軍人のトダカさんに返事は出せない。だからマユが返事をしてあげて。」 「・・・・・・ぜったいぜったいかえってくる?」 「うん。絶対だ。」 「ゆびきりだよ?」 「うん、ゆびきりしよう。」 差し出された細く小さな指に小指を引っ掛けてシンはゆびきりの決まり文句を口にした。 ゆびきりげんまん うそついたらはりせんぼんのーます! 『ぜったいだよ?』 治まる気配の無い涙と鼻水を必死に啜り上げてシンに問うマユの姿に改めて固く誓う。 《そう、俺はマユを守るんだ。》 マユの笑顔が見たいから休暇はいつもマユのところへ行った。 マユに少しでも会いたいからアーモリー・ワンに呼び寄せた。 マユを喜ばせたいからマユの好きな物を買い捲った。 全ては妹の為。 シンは疲れ気味の顔をしたヨウランを引き連れて漸くミネルバへ戻る事にした。 左手には紙袋一杯のお菓子。右手には手提げの袋に入った服とおもちゃ。 ご機嫌顔でスイスイと足を薦めるシンに対し、後ろでゼイゼイと息を荒くしたヨウランがやはりお菓子の山と友人達に頼まれた買い物の山に苦しみながら歩いている。 近道をしようと通って来た裏小路からシンが表通りに出た瞬間。 ・・・・・・人にぶつかった。 跳ね飛ばされはしない。ぶつかった相手は同じくらいの年の少女で金色の髪にシンに似た焔を思わせる赤い瞳をしていた。 《この子もミネルバの推進式の為に来たのかな?》 シンがそう想うのは無理ない。咄嗟に支えた少女はふわふわとした青を基調としたドレスを着ていた。恐らくお出かけ用の服なのだろう。 風にふんわりと浮かぶ軽やかな生地は少女の雰囲気に似ている。 少女は支えられたままぼんやりとシンを見上げて不思議そうな顔をしていた。 が、直ぐに不快感を表すように眉を顰めてシンの腕を振りほどいて走っていってしまった。 「胸、触ったな。」 「えっ!?」 後ろから突如響くヨウランの声にシンは驚いて振り向く。 頬が染まってしまったのは先ほどの少女を支えた時に柔らかな感触がしたような気がしなくもないからだが、断じて態とではない。 だが、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながらヨウランは更に言い募った。 「このラッキースケベ☆」 「ちっちが―――う!!!」 戦艦ミネルバ 出来上がったばかりの外装は傷一つ無く、厳かな雰囲気を醸し出す。 今まで量産されてきた戦艦と大きく違うのはその外見のフォルムだけではない。 あるMSとの連携の為だけに設計された独自のシステム、カタパルト等特徴的な部分が非常に多かった。 現在プラントのみならず世界の注目を集めるザフトの最新鋭艦。 それ故に部外者がおいそれと近寄ることは出来ない・・・・・・一部の例外を除いて。 ミネルバへ搭乗する為に掛けられた船橋の傍、資材の多くが詰まれている開けた場所に非常に似合わない人物がいた。 「ねー、おにーちゃんはまだぁ?」 「大丈夫、もうすぐ戻ってくるって連絡があったそうよ。 マユちゃんがずっと楽しみにしてたようにお兄ちゃんもマユちゃんに会えるの楽しみにしてたんだもの。きっと走って来るわ。 だからもうちょっとだけ・・・ね?」 付き添う女性の声を合図に遠くから車の音が聞こえる。 段々と近づいてくるその音は二人の前で止まった。 エレカに乗る二人の少年。内一人は荷物を抱えたままドアも開けずに飛び降り、少女の前に跪いた。 「マユ!」 鮮やかな赤い髪の女性の手を握り、『マユ』と呼ばれた少女はたった今自分の前で跪いた少年・・・シンを見上げる。 宵闇というには少し明るい紺色の髪を肩の辺りまで伸ばし、アメジストの輝きを湛えた瞳をしたその少女の名はマユ・アスカ。 シンが心待ちにしていた『妹』だった。 「おにいちゃぁん!」 「ゴメンな待たせて。」 「ん〜ん。おねえちゃんがずっとついててくれたからダイジョーブ!」 ずっと離さなかった女性の手を離し、マユはシンの胸に飛び込んだ。 まだ4歳のマユの身体は16歳のシンの腕の中にすっぽり納まり、シンは抱き潰さない様に気をつけながらマユを包み込むように抱きしめる。 アカデミー卒業以来、新型のMSのテストパイロットとして外部との接触を禁じられていたシンにとっては本当に久しぶりの妹との面会。それを知るヨウランとマユについていた女性は兄妹の再会を邪魔しないようにエレカに乗ってその場を離れた。 案内された部屋を前にしてカガリは少し躊躇う様に立ち止まり目を閉じる。 《現プラント最高評議会議長・・・・・・現在のプラントを見れば『良い施政者』なのだろう。それだけに今日の会談は平行線に終わる事も十分予測出来る。 だが、それでも私はオーブの姿勢を示さねばならない。》 立ち止まったのはほんの一瞬。 再び開いた瞳は『オーブの代表首長』としての強い意志を宿していた。 しゅん! 開くドアの先に軽いウェーブのかかった黒髪を靡かせ手を広げて歓迎する男性。 読めない琥珀の瞳を薄く開き彼は言った。 「これは姫。遠いところをようこそ。」 《現プラント最高評議会議長・・・ギルバート・デュランダル!》 ミネルバのドッグへの入り口前で立つ男がいた。 どうにも落ち着かない様子でキョロキョロと辺りを見回すが、周りで荷物を運んでいる兵士達は誰も彼を気に留める様子が無い。 それもそのはず、彼はミネルバの傍にいて当たり前の人物だった。 待ち人がいたらしく、入り口前に止まった車を見て顔を輝かせると「お待ちしてました!」と叫んだ。 「お待たせしました。こちらがオーブから来られた記者の方です。」 「主にフリーの戦場カメラマンとして活動しております。ミリアリア・ハウです。 本日はよろしくお願い致します。」 「ミネルバ副長アーサー・トラインであります。 いや〜まさかこんな若くて可愛い女性が取材に来るとは。 知っていたらもう少し気を遣ったんですが。」 ごほん! ・・・言葉を遮るようにミリアリアを案内してきた秘書が咳払いをするとアーサーは慌てて敬礼し直す。 《結構お調子者らしいわね。》 ミリアリアは苦笑してアーサーに握手を求めた。 《休みは後二時間ほどってか・・・・・・よし!》 シンと別れた後、ヨウランは助手席に座って物憂げな様子で風景を眺めている女性に声を掛けた。 「ねえ、ちょっとお茶でも飲まない? 二人の面会が終わるまで暇だろ。」 「これからまた街に出てお茶飲んで来るって言うの? 慌しいったらありゃしないわ。それともミネルバ内の休憩室の自販コーヒーなんて言うんじゃないでしょうね。」 「いや・・・それは・・・・・・。」 「幾らなんでもどっかの気を遣わない事で有名な何処かの隊長じゃあるまいしそれは無いわよね。」 《ナンデスカ。そのやたら具体的な例がありそうなセリフは。》 風で靡く赤い髪を鬱陶しげに掻き上げながら嘆息する女性にヨウランは思わず口にしそうになるが、ギリギリのところで飲み込んだ。 一瞬の間をおいてクスクス笑いながら女性は言葉を続ける。 「別に気を遣わなくても良いわよ。二時間くらい暇を潰すくらいなんてことないわ。」 「あう・・・。」 とりつくしまもない。 やんわりとした断りの匂いを漂わせたセリフにヨウランは撃沈した。 大人びた雰囲気を漂わせながらも可愛らしい容姿をした彼女をナンパしようと試みたものの場所と状況で敢え無く失敗。 下手に食い下がって不興を買うのは好ましくないと話題を変える。 「それにしてもよく付き添いでここまで来れたね。 シンの面会許可もギリギリで出たことにも皆驚いてたんだけど・・・。」 「たまたまボランティア先の施設にあの子がいて、家族に会えるのは今日だけって聞いたのよ。 でも上層部が『4歳の子供な上にミネルバは軍事機密だから軍属の人間が付き添って来れば面会を許可する』って言って来たそうよ。」 「それって・・・面会を諦めろって事?」 「そういう事よ。子供の我侭に付き合ってられるかって言いたかったんじゃないの? 条件を提示したのは現場を知らない高慢ちきなインドア派で有名な奴だったし。 あの子のお兄さんって今年卒業したばかりでザフト内の知り合いは同期ばかりで殆どがミネルバ配属・・・休暇を潰してまで付き添いボランティアをしてくれる他の隊の人間なんていないと踏んだんでしょ。」 「それじゃあ君は・・・。」 ヨウランが驚いて車を停め、改めて助手席の女性に目を向けた。 セミロングの赤い髪に澄んだアッシュグレイの瞳、薄紅色のシャツに紺色のGパンを穿いて春らしいアイボリー色のカーディガンを羽織るその女性はにこやかに笑いながら言った。 「改めまして、ジュール隊副長補佐兼ボルテールで戦闘管制をしている『フレイ・アルスター』よ。」 続く 予定していたシーンまで行きませんでした。 でもこれ以上続けようとするとすんごく長くなってしまうので一度切りま〜す。 楽しみにしていたシーンがあるんですけど・・・このペースだと次の次くらいでしょうか? うわ〜ん頑張らないと! あ、後見人制度ですけど戦後の混乱もあっての無茶な設定です。勿論承知してますよ〜。 後、『彼女』を出した理由・・・色々あるんですけど種明かしになってしまうのでもう少しお話が進んでからあとがきに書きますねv 2005.10.19 SOSOGU |
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