二人の変革期
《困った・・・・・・。》

 彼の今までの人生(と言ってもまだ10年程度だが)の中でこれほどまでに重大な悩みを抱えたことがかつてあっただろうか?
 アスランは人生最大の危機とはこういう事を言うのではないだろうかとまだ幼い頭を抱え込んでキラの家の前に立っていた。

《やっぱ怒ってるよな・・・。》

 アリシアには問答無用で蹴倒され、実の母親にはキラの事を確かめる時にうっかり口を滑らせてしまい、キラを泣かした事を知られたせいでかなり力を篭めた拳骨を3発も脳天に食らってしまったアスランは背中と頭の痛みに耐えながら玄関に取りつけられたカメラ付きインターホンを押したのだった。





「キラー? どうしたの本当に・・・。」

 学校から帰ってくるなり部屋に閉じ篭ってしまった娘を心配したカリダは中からロックが掛かって開かないキラの部屋の前に立ち何度目になるかわからない呼びかけをした。
 いつもは親に心配かけることを厭うキラは大丈夫じゃなくても「何でもない。」「大丈夫だよ。」と言って虚勢を張る。しかし今回はそれさえも無い。
 学校で何かあったことは容易に想像出来るが具体的に何があったのかは全くわからない。

《アスラン君に訊いてみようかしら。》

 カリダがそう思った時、電話が鳴った。


 ひとしきり電話の相手との会話を楽しんだ後、今度は家のインターホンが鳴った。

 ポーーン

 慌ててリビングのインターホンへと向かおうとするカリダに今まで沈黙を守っていたキラが部屋の中から顔を出した不安そうな顔をして言った。

「母さん、アスランだったら会いたくないから絶対入れないで。」
「キラ?」
「絶対だよ!

 そう言って再び部屋へと閉じ篭ってしまった娘に気をかけながらリビングに戻り、インターホンのモニターを見たカリダはどうしようかと迷った。
 モニターに映っているのは友人の一人息子でありカリダにとっても息子のようであり、先ほどキラが入れるなと言った問題の人物アスラン・ザラだったからだ。
 元々誤魔化しが苦手な娘はすぐに態度に出る。
 キラの様子からして明らかに娘の異変にアスランが何かしら関わっているのもわかるが先ほどの電話の相手から仕入れた情報もあり、母親としてはどうしてもアスランと話し合わせたいところだ。
 しかし、話を合わせたくても直接アスランをキラと会わせると下手に刺激してしまいそうで宜しくない。

《全く困った子ねぇ。》

 娘の揚げ足を取るようで悪いがカリダは【娘の部屋に入れずにアスランと話す】事にした。





 ポーーン

 中々出ないキラに痺れを切らして二度目のチャイムを鳴らすアスラン。
 話をすることすら許せないくらいキラが怒っているかと思うとぞっとした。
 そして初めて気付いた。
 失う事をこれほど恐れるくらいにキラを大切に想っていた事に。
 ほんの数秒が数分に思えるくらいに長く感じる。

《今日はこのまま帰るしかないのか?》

 ふっと諦めに似た想いがアスランの胸に過った。
 そうしたらそうしたでレノアが烈火の如く怒る様が容易に想像出来てしまうので怖い。
 学校を出るときには既に夕焼け色に染まっていた空がプログラム通り段々と薄暗くなってきている。
 最近はまたナチュラルとコーディネイターの溝が深まったようで国のトップ同士の話し合いに子供ですら気付くような皮肉が混じってきている。
 更にブルーコスモスによるテロが地球でも活発になってきており、最近月にも侵入してきているのでは無いかとそんな憶測ばかりの噂が街で広まっている。
 嘘から出た真実という事もある為あまり楽観しする事も出来ない。

《これ以上暗くならない中に家に戻った方が良いだろう。》

 薄暗い路地を見てアスランがキラの家に背を向けた時だった。

「アスラン君。」

 何時の間に家から出てきたのかキラの母、カリダが門の前に立っていた。





 ぐうううぅぅうううぅぅぅう・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・お腹空いた。」

 あれからどのくらい経っただろうか?
 キラは自室のベッドに潜り込んで不貞腐れていたのだが何時の間にやら寝てしまったようだ。
 窓を見れば辺りは真っ暗、星がキラキラと瞬いている。
 母親には家に入れるなと言っておいたし、いくら何でもアスランはもう帰っているだろうと高を括ってキラは部屋のドアのロックを解除した。

《今日の夕食は何だろうな。》

 母親の作るご飯はいつも美味しくて、専業主婦で時間があるからといろんなレシピに挑戦してはレパートリーを増やすのでその日の夕飯もキラには予想が出来なかった。
 凝り性の母親はキラがにんじんが嫌いだと言うとハンバーグなどのキラの好物の中に原型がわからないように摩り下ろして混ぜたり見た目が可愛くなるように花形に飾り切りにしたりと色んな手法を使ってくる。ハンバーグに全く姿を見出せない人参のことを食事を全て平らげた後に教えられた時には思わずフォークを取り落とすくらいにびっくりした。


『気付かなかったの? 今日は人参丸ごと一本分入れてあったのにね♪』

 悪戯っぽく笑う母親に『騙し討ちは酷い〜!』と喚くキラ。
 その傍らで一緒に同じ食事をしていたアスランが笑いが堪えきれないといった様子で吹き出していた。


 一番近くにいるかけがえの無い家族であり友達。
 多分キラにとって親友とはアスランのことを言うのだろう。
 そう思っていた。
 アスランとそんな友情を築けたことを誇りに思っていた。
 そんな時にアスランがずっとキラのことを男の子と勘違いしていた事が発覚したのだからキラにとってショック以外の何物でもない。
 何よりもアスランに裏切られた気がしたのだ。

 リビングから食欲をそそる匂いが漂ってきた。
 部屋の明りと芳しい匂いに誘われるようにキラはリビングの入口に立った。

《何で?》

 アスランに会いたくなくて『入れるな。』と母親に言った。
 だからいるはずが無い。
 いるはずが無いのに。

《何でアスランが料理作ってるの?》

 キラの目に映ったのは幸せそうに微笑みながらご飯を盛り付けている花柄エプロン姿のアスランだった。





 カリダに呼び止められたアスランは身を竦ませた。
 帰りたくなかったはずなのに逃げ出したい心境に駆られた。
 でも優しく微笑むカリダを前にそれは出来ないという想いと今逃げ出したら二度とキラと顔を合わせることが出来なくなるのではと言う不安がアスランを振り向かせた。
 アスランの顔を確認するとカリダは微笑を絶やさずに門を開けてアスランに近づき話しかけた。

「キラに用があるんでしょう?」
「・・・・・ええ。」
「でもキラったら部屋に閉じこもって出てこないのよね。」
「・・・・・・・。」
「もうすぐ夕飯だからお手伝いして欲しいっていうのに困った子。
 だからアスラン君、キラの代わりに食事の支度手伝ってもらえないかしら?」
「でも俺も家に帰らないと・・・。」
「あら今日は泊まっていけばいいわよ。
 それにレノアは明日からまたしばらく研究所に泊まりこみの仕事でしょう?
 食事も一人じゃ味気ないし、いくらセキュリティがしっかりしてるとはいえ最近は物騒なんだから子供が家に一人きりなんて良くないわ。」
「でもやっぱり・・・。」
「他にも頼みたい事あるのよ?
 今日学校で何があったのか教えて欲しいんだけど。」
「っ!!」

 それまで顔を俯きがちに話していたアスランが驚いてカリダを見上げるとずっと年上のその女性は大人の余裕を感じさせる悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
 家へと促すカリダの手に従ってアスランは門の中に入った。
 そっと頭を撫でてくれるカリダの手の暖かさに自分がホッとしている事に気づかないまま。


「さあ、今日の夕飯はハンバーグよv」

 そう言ってカリダは白いレースのエプロンを取りだし身に着けた。
 アスランも手伝いをするために上着を脱ぎ台所に向かったが、すぐに目の前に差し出された花柄エプロンに驚いて固まってしまった。
 色とりどりのコスモスの花をプリントしたそのエプロンは縁に派手でないが可愛らしいレースが施されていてまさに可愛い物好きの『女の子』が愛用しそうなデザインだった。

「あ・・・あの、小母さん?」
「台所に立つならエプロン着けてね。アスラン君♪」
「でもこれ女の子向けじゃ・・・。」
「他にエプロン無いのよ。それにアスラン君似合いそうだし問題無い無いvvv」
「俺には問題大有りです!」
「それにキラがアスラン君の方が似合うからってスカートとか可愛い服着なくなっておばさん寂しいのよね。」
「それって。」
「キラね。アスラン君に初めて会った時は女の子だと思ったんですって。
 でもすぐに男の子だって気付いて更にショックを受けたのよ。
 男の子のアスラン君の方が可愛い服が似合うって言ってそれまでだってあまり着たがらなかったスカートを全く穿かなくなったのはそれが理由。」
「じゃあキラも俺の性別勘違いしてたってことですか!?」
「最初の1日だけねv でもすぐに気付いたわよ?」
「・・・・・・・・・小母さん、誰から話を訊きましたか?」
「それはもちろんレノアから。
 エリシアちゃんにも盛大に蹴飛ばされたんですってね。背中大丈夫?」

《母上・・・どこまで話したって言うんですか貴女はっ!!!》

 ニコニコ笑いながら玉葱の皮を剥くカリダにも文句を言いたいがそれ以上にレノアをどつきたい衝動に駆られるアスラン。
 まあ実際に立ち向かったとしても3倍返しにされるのが落ちなのだが・・・。

「でもアスラン君。キラは確かにずっと性別を間違えていた事を怒ったかもしれないけれど、今はもっと別の事を恐れているんじゃないかしら?」
「別の事って何ですか。」
「さあ?」
「さあって小母さんっ!」
「母親の勘だもの。はっきりとしたことはわからないのよ。
 一番良いのはキラと話すこと。
 でもその前にアスラン君に訊いておきたいことがあるんだけどいいかしら。」
「何ですか?」

 皮を剥き終わった玉葱を置いてカリダはアスランへと向き直った。
 急にまっすぐに見つめられて急に緊張したアスランは強張った顔でカリダを見上げる。


「キラが女の子でも貴方はあの子の友達でいてくれる?」
「当たり前です!」


 アスランにとって一番怖いのはキラと一緒にいられなくなる事だった。
 門の前にいた時のあんな想いをするのはもう嫌だった。
 傍にいるのが当たり前だった人に急に離れられることがこんなに怖い事だとは思わなかった。
 そんな感情が今のアスランを支配している。

 先ほどまでの不安に揺れた目を払拭するアスランの強い眼差しにカリダは安心して母親の顔で微笑んだ。

「有難うアスラン君。
 多分キラは今の貴方の言葉を喜んでくれるはずよ。」

 そう言ってカリダは改めてアスランにエプロンを差し出し再びまな板に向かった。

「さあ、まずはキラを部屋から誘い出さないとね♪
 とびっきり美味しいハンバーグを作りましょう。お腹が空けばあの子も匂いに釣られて出てくるわvvv
 今日はキラの苦手なピーマンをこっそり入れましょう!」
「はい!!!」

 カリダから半分に切られたピーマンを受け取り種取りを始めるアスランはいつもの笑顔を浮かべていた。


 実質夕飯作りはカリダが進め、アスランはその雑用を手伝うだけだった。
 人参の時と同じようにどこにピーマンが仕込まれているのかわからないハンバーグが出来上がるとカリダが特製ソースを作り始め、その間にアスランはスープを運んだりご飯を盛り付けたりして食卓を調えていた。
 その時だった。
 背後のドアに気配を感じて振り向くと部屋に閉じ篭っていた筈のキラが立っていたのだ。





「何でアスランがいるの!?」

 アスランに見つかって思わずキラは叫んだ。
 誰にというわけではない。ただ単に疑問を口に出しただけだった。
 けれどアスランはそんなキラの言葉はやはり自分を拒否しているのだと思い傷付いた。

 ぱかん

「痛い! 母さん何するのさ!!」
「キラこそアスラン君に対してその言いぐさは何なの?
 貴女が手伝ってくれないから代わりに手伝ってくれたっていうのに。」
「アスランを入れないでって言っておいたじゃない!!!」
「だから『貴女の部屋には』入れなかったでしょ?」
「っ! ・・・・・・・・・・・屁理屈ーーーーーっ!!!!!

 カリダは揚げ足を取られて喚く娘を見て愉快そうに笑いながら作ったソースをテーブルに並べられたハンバーグに掛け始めた。
 テーブルの傍で居心地悪そうにアスランが自分の様子を窺っていることに気付いてキラは頬を膨らませながらそっぽを向く。
 そんなキラの様子にアスランは胸を痛めていたが、カリダはそんな娘の様子に安心していた。

 本気でアスランを許せないならまた部屋に閉じこもるはず。
 キラが見かけに因らず頑固な性格をしている。
 もちろん譲れない何かがあるのだろうが、今はただ単に意地になってしまっているのだ。

「さあ、二人とも食べましょう。
 そうそうキラ。アスラン君は今晩は家に泊まるから。」
「母さん!?」
「でも・・・。」
「明日は休日だし・・・朝から二人で遊べるしね?
 でもそのためにも。」


 今夜の内に仲直りするのよ?


 子供達にテーブルにつくように促しながらカリダは悪戯っぽい笑顔で言ったのだった。



 テーブルについて食事を始めたもののアスランにとってはとても気まずく、キラにとっては未だに胸がもやもやして落ち着かない夕食だった。
 二人とも相手の出方を窺っているらしく会話が全く無い。
 食事ももうすぐ終わると言う頃にキラがしびれを切らしたらしく自分の皿に乗っていた人参のバター煮をアスランの皿に移し始めた。
 突然のキラの行動にアスランが自分の皿に詰まれた人参の山を見てキラの顔へと視線を移すとキラはアスランの顔を見ようともせずに言い放った。

「食べて。」
「食べてって・・・。」
「僕人参嫌いだから食べて。」
「・・・・・・・・・・キラ、好き嫌いは良くないっていつも言ってるだろ。」
「食べれないものは食べれないんだもん!」
「食べれないわけないだろ。キラは食べれるけど食べないだけ!!」
「だってあの匂いが嫌なんだ〜〜〜!!!」
「人参食べて死ぬわけじゃないんだから食べろっ!!!」
「いいじゃんこれくらい! 今日のことはこれでチャラにするから!!」
「それとこれとは話が別。ほら口開けろ!」
「い〜や〜だ〜〜〜!!!!!」


 終いには取っ組み合いに近くなり、キラが椅子から離れようとするとアスランが人参を突き刺したフォークを片手にキラの首にしがみ付く。
 そんな二人の様子にカリダが堪えきれ無いように笑い出す。
 あまりに楽しそうに笑うカリダを見て恥ずかしくなったのか二人はお互いに顔を見合わせて照れくさそうに笑い合った。

 カリダから『食べなかったらおしおき♪』の言葉もあり心底嫌そうに人参を飲み下したキラ。
 そんなキラに食べきったごほうびのグレープジュースをアスランが差し出した。
 キラは少し考えてからジュースを手にとってアスランを部屋へと手を引っ張った。
 アスランは怒っていたはずのキラの様子に戸惑いを感じたが強引に引っ張るキラに引き摺られるようにして部屋へと移動したのだった。
 そんな二人の様子にカリダはテーブルの片付けながら微笑を浮かべていた。


「キラ?」

 部屋についたもののキラは自分の勉強机の椅子に座ってだんまりを決め込む。
 アスランは所在なげにドアの前に突っ立ったままキラに呼びかける。
 キラは言葉を発する事無くソファ代わりにベッドに座るように手で促すとアスランは慣れた部屋であるにも関わらず恐る恐るベッドに座った。

 また沈黙が二人の間で流れた。
 アスランはどう話を切り出そうかと考えていたが何も浮かばず顔を伏せたままでいるとキラから突然脈絡も無い話を切り出した。

「アスラン。さっき僕に人参食べさせようとしたよね?」
「? ・・・・・・・・・・怒ってるのか。」
「別に? いつもの事でしょ。」
「じゃあ何だ。キラは何を言いたいんだ?」
「さっき僕にしがみついたよね。」
「首絞まったのか? 加減はしたつもりだけど。」
「苦しくはなかったよ。でも普通はそこまでしないよね。」
「普通って・・・。」
「普通、男の子と女の子の友達ってそこまでするかな?」
「キラ・・・言いたい事が良くわかんないんだけど。」
「じゃあ単刀直入に訊くけど、アスランにとっての僕って何?」

 どくんっ

 キラに射貫かれそうなほど強い意志を湛えた瞳で見つめられてアスランは言葉が出せなかった。
 何も言えないアスランにキラは更に言い募る。

「僕は今までアスランの事一番の友達だと思ってた。」

「男の子とか女の子とか、そんなこと関係無く親友と呼べる存在だと思ってた。」

「でも、アスランはずっと僕の事を男の子だと思ってたんだね。」

「今僕が女の子と知って・・・アスランはあの時と同じように答えてくれる?」


《あの時?》


 アスランはキラの言う『あの時』とは何時の事なのかわからなかった。
 キラはそんなアスランに気付いて淋しそうな顔をしながら言った。

「随分前に・・・頼まれたラブレターをアスランに渡してって頼んだ子の事覚えてる?」
「あ・・・・・・。」

 アスランは漸く思い出した。
 一度だけキラからクラスメイトの女の子からのラブレターを渡された。
 確かにアスランはずっとこういった手紙類をろくに読む事もせずに捨てていたのだが、だからと言ってキラを巻き込んだ事に非常に腹を立てた。
 元々そういった事に疎いキラに自分の問題である恋愛関係の事を巻き込みたくないとアスランは思っていた。
 けれどもキラへの注意を怠った為にキラを巻き込み更には怪我をさせてしまった。
 本当ならアスランの方がキラに謝りたかったのに逆にキラに謝られたのだ。



「ゴメンねアスラン。
 もう二度とこういう事に巻き込まないよ。」
「いいよ別に、気にしてない。」


 寧ろこちらが謝りたかったのにキラに気を遣わせてしまった。
 だからと言ってここで自分が謝ればキラはもっと気に病むことがわかっているからこそアスランは軽く流したのだ。

《あの時俺は最後に何て言った?》


「迷惑かけたら友達じゃなくなるわけじゃないよ。
 キラのそういうところも俺好きだしね。
 ・・・キラは俺の一番の友達、親友だから。」




 キラが先ほどからしきりに出している「親友」という言葉に漸くアスランは合点がいった。
 コーディネイターは知識の習得が早い分精神的に中途半端に早熟な面がある。
 異性に対する意識はナチュラルの平均よりは早いと言われている。
 事実学校では低学年の頃は仲が良かったのに仲の良い友達だったはずの男子生徒と女子生徒が高学年になってくるにつれて一線を引くようになっている光景が見られる。
 キラが一番に恐れているのはソレなのだ。

 今までキラは自分達が成長しても関係が変わる事が無かったのでアスランが性別の違いで壁を置くような人物ではないと思っていた。
 しかしアスランはそれ以前にキラの性別を誤解していた。
 今回知ったことで今までの関係が崩れる事がキラが最も恐れている事なのだ。

 ハッとしてアスランは改めてキラを見た。
 真っ直ぐにアスランを見るキラの瞳は不安を湛えて揺らいでいる。

《伝えよう。俺が抱えている不安を。
 キラが離れていくと思うと俺も怖かった。》


「キラ、仲直りしよう。
 ・・・・・・俺はキラと・・・友達でいたい。」


 そっと微笑みながらキラに手を差し出すアスランにキラは花が咲いたな明るい笑みを返した。


 二人が友情の再確認をした瞬間だった。
 しかし、この機に二人の関係が少しずつ変わっていくことを幼い二人はまだ知らない。



   END


 長かったな〜。
 やはりアレが効きました。オフの用事でサイト放置が続きその後体調崩してそのうちに仕事が忙しくなって・・・・・・・・歯医者からリコールで現在虫歯の治療中。
 喘息もどきの診察予定もあって治療費に泣いてるSOSOGUです。


 愚痴ってごめんなさい。


 せめて大体仕上がっていたこの「二人の変革期」・・・・・・予想以上に長くなった上にシリアスになってやんの!
 予定ではもっとアスランに壊れてもらう予定だったのですが・・・次回に持ち越しでデス。
 次はアスランの暴走・・・その名の通りアスランに暴走してもらいますv(ちなみにギャグ!!!)
 テレビ放映は終わってしまいましたが連載がまだ続いちゃってますので別館は閉めません。
 っつーか閉められません。
 本館の方が更新停止状態なのが泣きたいですけど・・・。
 まあ現在の私の状況が状況なので・・・詳しい事はお知らせをご覧下さい★

    2003.10.4 SOSOGU

 アスランの暴走に続く

 NOVEL INDEX